2019
oil on canvas
38×45.5cm
オークションは終了いたしました。
この作品は、フィレンツェに発つ前にキャンバスの下地準備だけして、帰国後、すぐに制作を始めた油彩画です。
下地の色は、濃い紫色でした。
最近の油彩画では、カドミウムイエローを頻繁に使うようになりました。
この作品で使っているカドミウムイエローは、ローマの郊外にある少し大きな画材店を訪ねた時に、思い切って買ったものです。
日本では販売されていない、高価なシュミンケの大きいサイズのチューブから出しています。
とても力強いこの黄色は、隣にカドミウムレッドやビリジアングリーンを並べると、さらに黄金のような輝きを発し始めます。
単色だけでは、その力も半減してしてしまうので、なるべく細かく、様々な色を最初に仕掛けておいて、線を増やすごとに線を細く整えていくようにして線描を重ねています。
この手法は、例えば日本の漆工芸「津軽塗」の「唐塗」を少し意識しました。
また線を重ねる途中では、イタリアのムラーノ島のガラス工芸(細かいビーズを作品に組み込んでいく手法)のようなイメージも重ねています。
この黄色の色を見ながら制作していると、フィレンツェのあの猛烈に暑い日々に、元気に版画制作をしながら街中を闊歩した感覚が身体中に蘇って来ます。本当に暑かったのですが、なぜかとても元気に過ごせたのは、ひとえに版画制作でお世話になったイルビゾンテ工房・版画学校のおかげです。
そこでは様々な国々から版画を制作する人たちが集まって来ていました。制作の合間に、少し声を掛け合ったり、励ましたり、休憩時間にお互いに作品を見せ合ったり、ほんのひとときの交流でしたが、とても心あたたまる国際交流もできたように感じています。
昼食には、毎朝パスタを自炊してタッパウェアのお弁当箱に入れて持って行き、イルビゾンテのキッチンでチンして食べていました。その昼食時にぱったり、同じパスタ弁当を持ってきた女性がいました。ブラジルのサンパウロから来ていた美大生。
「ブラジルと日本とは強いつながりがありますよ。今でもブラジルの日本人は、とてもパワフルに仕事をする人たちというイメージがあるんです。 」
「日本では、ブラジルにゆかりのある有名人が活躍しています。例えば、プロレスラーで政治家になったアントニオ猪木とか、ボサノバの素敵な歌手、小野リサとか。どちらもとても人気があります。 」
「ブラジルの文化は、とても特色があるし、特にボサノバは私たちの誇りです。 」
「私も小野リサを通してボサノバを知り、とても好きになりました。特に彼女が日本語で歌う『太陽の子供たち』が大好きで、昔はカラオケで歌うことがありました。 」
私は、スマホから『太陽の子供たち』の歌詞を検索して、その場でちょっと歌ってみました。
「そうそう、そのメロディはボサノバ。 』彼女もとても嬉しそうでした。
♪♪♪♪♪♪♪♪
「ひまわりの花 見上げる空に きらめく陽の光
小鳥たちは 歌を歌い 緑の森におどる
海の青さ 雲の白さ 映し出す陽の光
♪♪♪♪♪♪♪♪
むかしも今も
世界中に かがやく陽の光
みんな光の中で生きる 太陽の子どもたち
♪♪♪♪♪♪♪♪」
彼女は、キュートでおしゃまな若々しい美大生。
「私と同じようなパスタ弁当。毎朝作ってくるの?」と聞いてびっくり。
「一緒にこのイタリアへの旅に彼がついてきてしまいまして. . . 、彼が朝早く起きて作って持たせてくれるんです。 」とちょっぴり自慢気。
「知ってる知ってる、あなたの彼を入り口で毎日見かけるもの。 」
彼は、内気で真面目そ~な好青年。とても微笑ましいカップルでした。
そんな会話のひとコマなどが走馬灯のように頭をよぎり、この作品を『輝く空』と名付けました。
(2019年8月20日配信 『画家川田祐子のニュースレター@No.32』より)
レビューを投稿するにはログインする必要があります。
このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。
レビューはまだありません。