昨日小旅行から長野に帰って来ました。
個展など発表活動が一段落すると、見知を広めるために必ず旅に出掛けることにしています。
ドルやユーロが安いので、海外にという計画もあったのですが、現在制作中の大作が気になるので、1週間を空けることは出来ず国内1泊というミニミニ計画になりました(笑)。関西方面の美術館と画廊等を見て来ました。旅の話しはまた追々....。
KANEKO ART TOKYOでの個展が、お陰さまで16日で無事に終了しました。
自分なりの感触のあった個展になりました。
2008年から新作まで、およそ4年にわたる私の小品制作の推移を見て頂く個展となりました。
1995年の初めての個展では、5年間に貯めた作品を発表して以来、いつも自転車操業で新作を出しては小品はほぼ完売、を繰り返して来ましたから、どこかで立ち止まって、少し作品を貯めた個展をしたいというのがここ数年の正直な気持ちでした。しかしこのような形での発表は、経済的にとても難しいというのが実情です。画料によって生活が支えられているため、作品を貯めている時期に別の方法での収入で補填しなければならないからです。今回はブログからの呼びかけなどから複数名の支援者の方々から寄付金が集まったことにより、この贅沢な個展企画が実現しました。助けて頂き、本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。お陰さまで、この不況下にもかかわらず、作品販売の目標額を越えることが出来ました。この場をお借りしまして、厚くお礼申し上げます。
アトリエには、制作中の130号のキャンバスが2点置かれ、同時進行で描き進めています。
目の前の机上には、最近取り寄せた本が散在しています。『現代の美術 別館 現代美術の思想』『レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画論攷』『ライプニッツ「モナドロジー」』『大衆の反逆』等々。
今回の個展発表により自分の今後の方向性がまた少し見えて来たところがあり、その方向性をより強固にするためにこれらの本を読み思索する毎日です。
そして先ほど、また130号キャンバスの木枠が届きました。定価33000円のものが特価で18000円で手に入りました。本当にありがたいことです。
大作よりも小品を沢山作って欲しいというニーズは、初期の頃からずっと言われ続けて来たことです。しかし私の制作は、ある特定のニーズに応えて意図的に制作するものではなく、やはり何だかわからない大きな存在に向けて自己の存在を問うようにして生まれて来るものなのです。このあり方は当初から何も変わりません。変化していくことも大切ですが、変えたりぶれてはならない部分をわきまえなければなりません。
芸術活動は限界を超えて領土を広げて行く、というのが現代美術の主流の動きなのかも知れません。私はそういう時代に流されることなく、オーソドックスに絵画の可能性を煮詰めてみたいと思います。私の制作の原点は、1985年にベルギーの美術館で見た20世紀抽象絵画展のあの会場にあり、「これらの展示作品の中にはない、私にしか出来ない絵画の新しい可能性」が見えたその瞬間です。ですから。それをじっくりひとつひとつ形にしていくのが私の領分です。
可能性を広げる事が必ずしも芸術の幸せにはなっていないのではないでしょうか。ここ数年そう思ってこの時代を俯瞰しています。「みんながつくる芸術の世界(例えばコンテンポラリー・アート)に参加する」という時代はもう盛期を過ぎたと感じています。むしろこれからは作家個人が、個々バラバラに自立して、自ら限界をあえて作ることで自己を確立して行く芸術、そういうものを自己の責任で立ち上がらせて行く時代になって来ていると言えます。
ライプニッツのいうように「群れ」とは、いつでも分散の危機にあります。ですからこれからは「モナド」すなわちそれ自体で一なる芸術活動。芸術という「複合体の中に包まれつつ、その複合体を包む」芸術というもの。あるいは「知性」と「意志」とが二重に重ねられて語られるような制作の中で、私は活動して行くのだという実感があります。
追伸
ご寄付を頂いた方から、個展会場で「余計なことはいいから、とにかく制作に集中して下さい」とありがたいアドバイスを頂きました。今後の予定に向けて、通信誌はしばらくお休みし、寄付の経過報告はブログでお知らせするのみと致します。よろしくご了承下さい。
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*「画家川田祐子 芸術支援寄付」プロジェクト収入の経過報告29*
8月30日~9月22日
応援寄付 0名様 0口 0円
賛同寄付 3名様 7口 70000円
小計 70,000円
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9月末まで あと 28190円
目的達成まで あと 2,912,685円
個展は終わりましたが、今は10月末〆切応募の作品と2014年予定の企画展発表制作に向けて制作に邁進しております。頂いた寄付金は、それらの制作のための画材費購入のために大切に使わせて頂きます。
ありがとうございました!
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